ボルティモアの水族館


出張中の空いた時間に、アメリカ・ボルティモアの国立水族館 (National Aquarium at Baltimore) に行く。

別料金を払うとイルカの曲芸や大迫力の四次元映像(って何だろう?)も観られたらしいけれども、シンプルに海の生き物たちを見るのが愉しかった。合計でたぶん100以上もの水槽があって、「太平洋のさんご礁」「アマゾンの熱帯雨林」「北極のケルプの林」などといった環境が主題になっているものと、「適応」「身を隠す」といったテーマによる分類などがあった。小さい水槽は窓ガラス一枚分くらいの小さなものに顔をつけて観るようになっている。一番大きい水槽は、「大西洋のさんご礁」のもの。とても背が高いドーナツ型で、魚が周りを群舞する水槽の中心部にあけられた4階分くらいのらせん状の階段を下りて行くことができる、手が込んだ趣向になっている。

私の魚のリテラシーはすごく低いけれども、魚のことを何も知らなくても楽しかった。なんて多様な色と形なんだろう、なんて優美な動きで泳ぐんだろうと、陶然として時間を過ごした。座布団がまくれるように泳ぐエイ、あれはチョウチョウウオというのかな、butterflyfish という名前で色々な種類がある極彩色の魚たち、ジュラルミンのような光沢で群れになっていた大きなカワハギのような魚たち。

私はバードウオッチングをするので、鳥も面白かった。ペンギンはいないようだったけれども、パフィンやウミツバメを主題にした水槽があって、北極の海鳥たちが水の中を泳いで魚を取るのを飽きずに眺めていた。(パフィンは、予想していたよりも泳ぐのは下手で、一撃で狙った魚を仕留められるわけではなかった。)もう一つ、屋上部分につくられた「熱帯雨林」を再現した展示の鳥も見ごたえがあった。もちろん空調されて加湿器からミストが出ている作り物だけれども、木が生い茂ってつる性の植物とナマケモノがそれに絡みつく、私には十分に迫真的な熱帯雨林で、そこに熱帯の鳥たちが、緋色のトキの仲間、インコの仲間、(たぶん)カラの仲間など、確認しただけで15種類くらいはいた。一生のうちで実物を見るとは思っていなかった強烈な色彩の熱帯の鳥が、カカオの木の実を食べているところなんかを間近で観ることができて、生涯の夢がかなったと言ってもいいかも(笑)

日本に帰ったら図鑑で魚のことを勉強して、ボルティモアに来たときにはきっとまたこの水族館に来よう。

画像は水族館のHPより。大西洋のサンゴ礁の巨大な水槽の中を降りていくイメージ。