ヴィルヘルム・ハマーショイ


今日は無駄話を少し。

休暇先でイギリスの雑誌を読んでいたら、ヴィルヘルム・ハマーショイ (Vilhelm Hammershoi, o は o に斜線 / がはいった、空集合の記号のようなもの)というデンマークの画家の特集があった。私はもちろん名前も聞いたことがない画家で、1864年に生まれ、1916年に没している。今年の夏にロンドンで大きな展示がある予定で、大々的にPRしていた。強烈な個性があるとか、当時のアヴァンギャルドの画家だとか、そういうことではなく、絵の技法としてはむしろ保守的で、印象派象徴派やセザンヌの同時代人とは思えない。作品は、地味で静かだけれども確かな存在感がある。「静謐」という言葉が自然に思い出される絵で、静止、沈黙、空白といった特徴が凝結したような室内を描いた絵が多い。似ている画風としては、フェルメールがすぐに思い浮かぶけれども、同じ時期の北欧の画家であるムンクが描く室内画にも似ている。フェルメールとムンクの双方の雰囲気がある絵というのは、妙な説明だけれども、意外に当たっているじゃないかと思うんですけど・・・ 

この展覧会は、ロンドンの王立アカデミーのあとは、東京の国立西洋美術館に来るとのこと。英語のカタログの著者の一人は、Naoki Sato さんという日本人で、何か嬉しくなった。