『カンフー・パンダ』


出張の飛行機の中で、映画『カンフー・パンダ』を観る。

ラーメン屋の息子で、家業を継ぐことになっているが、カンフーの大ファンでなかなか家業に身が入らないパンダが、何かの拍子にカンフーの英雄「龍の戦士」に選ばれてしまい、フェネックギツネのような動物のお師匠さんのもとで修行を始めることになる。そのパンダは大食いでデブで、他の鍛え上げられた弟子からは冷ややかにあしらわれたが、お師匠さんはパンダを信じ、パンダもそれに応えて強くなり、街の平和を脅かす最強の敵を倒すというハッピーエンドのストーリー。パンダが強くなる過程が、パンダのかつての個性を否定することではなく、潜在的な個性の実現だとされているところが、老荘思想だか禅だか知らないが、とにかくチャイニーズな東洋思想を上手にアメリカナイズした、ディズニーの手練手管(笑)

龍の戦士だけが読むことができるカンフーの奥義が書かれた秘密の巻物には、実は何も書かれておらず、秘密は自分の中にあるということを発見するという「禅」を狙ったモチーフと、パンダのお父ちゃんがやっているラーメン屋の秘伝のタレには実は何も入っていないという食の信頼のモチーフが重ねられていて(笑)、面白いというのか何でもありというのか、とにかくその雑多なところが私は好きです(笑)。ディズニーのアニメ(というのではないのかな)はいつもそうだけど、『トムとジェリー』を思わせるようなノリとリズムがいい映像も、愉しかった。英語版ではダスティン・ホフマンがお師匠さんの吹き替えをやっていたけれども、日本語版の声優たちは、少なくともダスティン・ホフマン級の有名な役者さんではなかったと思う。