映画をもう一本観た。実は以前から飛行機に乗るたびに観たかった『プラダを着た悪魔』。飛行機の中での上映にぴったりな、安心して観られるハリウッドのコメディで、最近よくある日本語吹き替えに中国語字幕。高級ファッション業界に君臨する雑誌の女編集長ミランダ(米蘭達)と、彼女の秘書の仕事をすることになった若い女性アンドレア(安・・・えっと何だったかな 笑)の話。アン・ハサウェイが持ち味を生かして、がんばりやの若い女性を好演して、メリル・ストリープが高級ファッションの女帝を演じて貫禄を見せている。
ハサウェイは、もとは硬派のジャーナリスト志望で、ファッション雑誌で仕事をするにしては太めの女性(「太くて、利口な子」)という設定なので、社の先輩には「サイズ6」と呼ばれている。女帝ミランダの身勝手な命令についていけなくて、先輩に泣きを入れたときに、「目を覚ませ!サイズ6!」という強烈な叱咤を受ける。
セクシャル・ハラスメント防止委員会発行のパンフレットのページをめくってみるまでもなく、「職場で個人の身体の特徴を引いてそれを話題にすること」はセクハラにあたるだろう。たしかに、理論上は、「サイズ6というのは身体ではなく服装の特徴である」という詭弁も成立するけれども、「この文脈での『サイズ6』は、服装そのものでなく、服装によって包まれる身体に言及していることは明らかである」とか言われて、まあ、一蹴されるだろうな(笑)。でも、ファッション業界に入った段階で、自分の身体を自分が好きな形に自己決定する権利を放棄していることになるという議論はどうだろう?(笑)