人は自分ができないことに憧れるもので、私は古典語ができないから、古典文化への憧れが激しい。漢詩というのも、その憧れの中に入っていて、時々漢詩の解説書や入門書を読む。この本は、漢文を一日一首ずつ読んで鑑賞するという形式で、大岡信さんの『折々のうた』を思い出させる。高校の漢文の授業で習ったようなものもちらほらあるけれども、意外性と話題性がある選択が楽しい。例えば毛沢東の「女民兵の詩」などという異色の作品もある。(なかなか上手で、古典を踏まえるという詩の王道を踏んでいるらしい。)
錦瑟 端なくも 五十弦
一弦 一柱 華年を思う
荘生の暁夢 胡蝶に迷い
望帝の春心 トケンに託す
蒼海 月明らかにして 珠 涙あり
藍田 日暖かにして 玉 煙を生ず
此情 追憶を成すを待つ可けんや
只だ是れ 当時 已にぼう然たり
一弦 一柱 華年を思う
荘生の暁夢 胡蝶に迷い
望帝の春心 トケンに託す
蒼海 月明らかにして 珠 涙あり
藍田 日暖かにして 玉 煙を生ず
此情 追憶を成すを待つ可けんや
只だ是れ 当時 已にぼう然たり