書物をいただいた。井野瀬久美恵編『イギリス文化史』(京都:昭和堂、2010)
イギリス史の研究者の中で、脂が乗り切っている年代の旗手たちがきら星のように並ぶ豪華な執筆陣である。編集の井野瀬先生が信頼されていることの証だろう。イントロでは、長谷川貴彦さんが古典的な文化史からマルクス主義を経てフーコーなどに至るまでの文化史のまとめをしている。宗教改革は那須敬さん、福祉国家への助走は高田実さん、経済史の小野塚知二さんは「イギリス料理はなぜまずいか?」という面白いタイトルで真面目な話を書いている。「言語論的転回」「ポストコロニアリズム」「ゴシック建築とスコラ学」などの物知りコラムが入っているのは、学生の勉強にもなるし、実は私のような教員にもためになる。きっと、文化史関連のテキストの中でも、傑作という評価を得ることと思う。