Rosenthal, F. (1978). "Ar-Râzî on the Hidden Illness." Bull Hist Med 52 (1): 45-60.
中世アラブ・イスラム世界の偉大な医師の一人、アル・ラージーによる「男性同性愛者」、より厳密にいうと肛門に性交されることで快感を得る受動的な男性を治療する方法についての手稿。手稿はモロッコの図書館に所蔵され、アラビア語でいうウブナー (ubnah) と言われる、受動的男性同性愛者の現象、その患者を マブン(ma'bun)という。この著作については、テヘランなどに異なった写本がある。アル・ラージーによれば、これまでこの現象についての本格的な医学研究はなく、彼の著作が初めてであると同時に、その後もあまり議論になっていないとのこと。その手稿を読んで英訳と注釈をつけている、優れた論文である。
まず男性と女性がどのように決まるかというと、男性の種子 sperm と女性の種子 sperm のどちらが優勢になるかである。そして、男性の種子が女性の種子を変形するほど強いと、非常に男性らしくなり、その逆だと非常に女性らしくなる。それぞれの変形の程度が弱いと、女らしい男性、あるいは男らしい女性が生まれる。後者であれば、月経がなかったり、ひげが生えたりする。両者の力が全く等しいと、両性具有が生まれる。
女らしい男性においてはペニスや睾丸が未発達で、下に十分降りてこない。そのような構造に男性の性器があると、肛門部分で快感を感じることになり、その結果肛門成功を愛することになる。これが長期化すると、もうウブナーは治らない。しかし、まだそれが確立する前には、治すことができる。治すためには、美しい顔で技術がある若い女に性器をマッサージしてもらい、それを下方に降ろせばよい。手で刺激して、キスして触るといい。あるいは、ペニスなどに香油を塗るのもよい。他の手段もあり、私 (アル・ラージー)は、このような治療法を男性患者に行ったことがある。