閉じ込めと障がい

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九州大学の文書館で症例誌を読み、ドイツ語と日本語の関係を色々と考えてきた。家に帰って医学界新聞を読むと、福武敏夫先生が「閉じ込めと障がい」の連載で障がいについて書いていて、面白かった。特に、日本語にとって受動態の概念が難しいということを指摘していた。基本は英語だろうけれども、過去分詞であった品詞を訳すのが難しいとのこと。evoked を誘発、forced grasping を強制把握、fixed pupil を固定瞳孔と訳すときには、英語の過去分詞を訳すのが難しい。とても困るのが locked-in symdrome を 「閉じ込め症候群」と訳すときに、「患者が閉じ込められる」から「閉じ込められ」と訳すべきだという議論である。

もうひとつ。「障がい」に関する議論に関して、福武先生も私も保守的な立場である。私は「障がい」は何か変だから利用しないし、「障碍」と書くことが多い。福武先生は後者には賛成だが、もともと「障害されている」という意味だから、「受障」「残障」「受難」などを使ったらどうかとのこと。