『スーパーヴィジュアル版 江戸・東京の地理と地名』


昨日取り上げた鈴木理生による江戸-東京の歴史地理学のヴィジュアル版で、日本実業出版社から2006年に出ている。この手の「絵本」を読むことはあまりないのだけれども、感染症の空間的な分布と伝播を考えるときには、どうしてもヴィジュアルな表現とセンスが必要になってくるので、「スーパーヴィジュアル版」に惹かれて買ってみた。鈴木がもともと書いた学術的な書物では、予算やスペースなどの関係で数も質も限界があった地図や図解などが、大きなサイズのカラーで掲載されていて、これは、学術書を水で薄めた一般向けの本ではなく、独自の視覚的な魅力を持っている書物である。

図は本書より。江戸の「河岸」の分布を示したもの。これらの地点は諸国から船で荷物が運ばれて感染症へのエクスポージャーが高かっただけでなく、荷物を陸揚げする仕事などに従事する労働者がその近くに住む地域だったのだろうな。