必要があって、紀元前3世紀のアレクサンドリアの医者・解剖学者、ヘロフィルスについての決定版の書物のイントロダクションを読む。文献は、Staden, Heinrich von, Herophilus: the Art of Medicine in Early Alexandria (Cambridge: Cambridge University Press, 1989).
ヘロフィルスは、新しい学問の中心となった紀元前3世紀のアレキサンドリアの医者。ギリシアではタブーであった、人体を組織的に解剖することを最初に行い、古典古代の解剖学の基礎を築いた重要な医者である。彼のまとまった著作は残っておらず、彼の思想や実践は、同時代や後世の医者や学者が彼を論じた記述や断片を通じてしか知りえない。この書物は、そのようなヘロフィルス関連の記述を徹底的に集めて、それらに精緻で該博な知識に基づいた深い考察を加えた、ヘロフィルスについての最初のまとまった研究であり、そして決定版の書物。2000年以上の年が流れたあと、この重要な医者に再び息吹を与えるのは、さぞかしスリリングな仕事であったと思う。かなりの部分はギリシア語の原文で、私には役に立たないが、そのスカラーシップへの敬意から、お守り代わりに持っておきたい本である。