必要があって、
呉秀三の弟子のひとりが記した
呉秀三の位置づけを読む。文献は、秋元波留夫「
呉秀三の業績―『精神病者私宅監置の実況及其の統計的観察。附、民間療法』を中心として」『精神医学』42(2000), 977-982.
呉秀三が樫田五郎と共著で執筆した「精神病者私宅監置の実況及其の統計的観察。附、民間療法」という論文があり、私宅監置などの具体的な実況調査として資料的な価値が高い。というか、私たちが日本の精神医療について知っていることのほとんどはこの書物に書いてあることである。秋元もこの論文を高く評価しており、「今世紀初頭の我が国の
精神障害者が甘受しなければならなかった運命の忠実な、科学的記録であり、この
精神障害者の不幸な運命を打開するための精神科医の闘いの貴重なドキュメントである。」と書かれている。