進行麻痺とマラリア療法の歴史

Kragh, Jesper Vaczy, “Malaria Fever Therapy for General Paralysis of the Insane in Denmark”, History of Psychiatry, 21(2010), 471-486.
進行麻痺に対するマラリア療法の歴史をデンマークで調べたコンパクトな論文。私がいま個人的にこの主題を日本で調べているので、テクニカルに有益な情報(たとえばマラリア療法やズルホシンなどの発熱療法は進行麻痺だけでなく、少数だが早発性痴呆などにも試されていたということ)もあったが、大きな主題としては、マラリア療法の登場が、精神医たちがずっと望んでいたスタイル、つまり洗練された方法(ワッセルマンやロンベルク)で検査して短期間の治療を行うための機能を付け加えたこと、という私(たち)が論じている20世紀前半における精神病院の変容の主題がデンマークでも発見されている。