今日のDNBは、19世紀の末に活躍した医師・動物学者・人類学者の グスタフ・イェーガー(Gustav Jaeger, 1832-1917) 。現在でもセーターなどで人気がある「イェーガー」の創設と関係がある学者である。
動物の体毛を使った洋服のアイデアは、1880年に出版された『私の体系』に現れた。議論は、少なくともこの DNBの記述では、よくわからないけったいなものである。動物は人間より健康で長生きであり、動物の体毛は地球上で生きる大きな助けであり、綿や麻などの植物系繊維の服や、絹の服よりも、ずっと体によい。だから、動物の毛の服を着たら、病弱だったイェーガーが見違えるように健康になった。この説に世界各地で共感する人々が現れ、ロンドンで共感した人物がそのような服を売り出す支店を出し、1890年代にはリージェント・ストリートに二号店が現れた。多くの有名人がこの説に共感した。オスカー・ワイルドやウィリアム・モリスが動物体毛の服を着た。特に名を成したのがG.B. ショーで、けったいな服を来て講演したりして愉快な悪名となったらしい。
もう一つ、これは余分な話だが、新しいDNBに人名が掲載される基準について。 詳しいことは知らないが、イギリス生まれとか、イギリスで活躍とか、そのような基準よりも広く取られていると思う。今回のイェーガーは、イギリスに定住して活躍したことは一度もない、ほぼ生粋のドイツ人である。しかし、彼の「遺産」として最も重要な服飾店「イェーガー」(英語読みで「ジェイガー」と読むのが「本来の」読み方らしい)がイギリスの店だから、イギリス人名辞典に掲載されたということなのだろうか。乱用するとおかしなことになるけれども、これはこれでOK. ただ、記述の中心はイェーガーの服を着たイギリス人たちの話である。