Brenner, E. (2015). Leprosy and charity in medieval Rouen: Royal Historical Society.
中世のヨーロッパにおけるハンセン病者は二つの両極的な側面を持っていた。隔離・他者化と介護・慈善の対象という二つの側面である。私が医学史を勉強し始めたときには、隔離・他者化の意見がまだ力が強かったし、もちろんそのような考えを強調する史実はいくつか鮮明なものがある。14世紀にユダヤ人やイスラム教徒と一緒にされて殺されたという事件は著名なものである。その一方で、全体でみるとケアと慈善のほうが強いという意見もあり、それに関する史実もある。私は1500年くらいのニュールンベルクの慈善を示すパンフレットを使うことが多かった。中世のかなり派手な慈善の対象としてのハンセン病者がよくわかる。
2015年に刊行されたブレナー先生の書物を見ると、冒頭で街から追放されたハンセン病者が居住した施設が、非常に頻繁に修道院の位置と重なっていたことがわかる。修道院が形成する空間と、ハンセン病者を介護する施設が一致していたという議論である。この図版は使うことにしよう。