サウジアラビアの女性の自動車の運転と医療の国際比較の話

今朝のEconomist Espresso で、サウジアラビアの女性が自動車の運転免許を持つことができるようになるというニュースを読む。サウジアラビアで近代化を指導するムハンマド・ビン・サルマン王子の指導のもとの改革だという。これで世界のすべての国で女性が自動車を運転できるようになったとのこと。また、女性が免許の審査に応募したり、タクシーやユーバーの運転手になろうとしているとのこと。基本的に素晴らしいことだと思う。サウジアラビアの女性の皆さま、おめでとうございます!

エコノミストの記事では、さらに近代化する道のりとして、女性が医療を受けるときに、男性の保護者なりの許可が必要であるという現在の状況を変化させなければならないと書いていた。これもその通りだと思う。それはサウジアラビアの女性が、夫や父が知らない性行為をしていいということであり、そんなことはけしからんという議論があるのはたしかにわかる。しかし、それよりも、女性が自らさまざまなことを判断できる制度と社会になっていることがずっと有効であることは、20世紀後半の医療の国際比較研究が証明している。1980年代の第三世界の国家のさまざまな指標と、乳児死亡率の相関係数を較べてみると、人々、それも女性・母親の教育などが大きく、一人当たり収入、看護婦、栄養、医師などの貢献は決して大きくない。(図1参照)このようなデータを私が知り、男女の等しい権利の社会が医療の側面で優れていることを実感したのは、Caldwell, John C. "Routes to Low Mortality in Poor Countries." Population and Development Review, vol. 12, no. 2, 1986, pp. 171-220, doi:10.2307/1973108. という論文だった。懐かしい論文なので、自動車の記事を読んで書いておいた。

 

指標

相関係数

1960年女児就学率 -0.8563
1960年男児就学率 -0.8374
1981年家族計画実施率 -0.8234
1981年女児就学率 -0.7932
1981年中等教育就学率 -0.7917
1960年中等教育就学率 -0.7338
1981年男児就学率 -0.6219
1980年対人口医師数 -0.6105
1981年人口あたり消費カロリー -0.6095
1980年対人口看護婦数 -0.4401
1982年一人当たり収入 -0.3109