2019年度 歴史学1と歴史学2について

日本は幼稚園から大学まで<年度>という概念がかなり強い。そのため、4月入学ー3月卒業というパターンで色々なことを考える。一般教養の歴史学だと、そこに授業の時系列をはめ込む。4月に古代ギリシアで始めて中世ー近世と流れ、9月末に近代で始めて両世界大戦ー現代で終わる。これが「歴史学」という通年の授業でもそうだったし、歴史学1・歴史学2という学期性でも基本は同じである。

これが変わってきているのは、他の大きな大学でもそうだと思う。慶應の色々な学部で9月末入学ー7月末卒業という新しいパターンが現れている。そのような学生たちにとっては歴史学1と歴史学2が時系列を守っているというのは、へんてこな授業になる。最初に歴史学2を受けて近代・現代の話を聞いて、次に歴史学1を聞いて別の主題に関して古代から近世の知識を得るという流れになる。これはやはりおかしい。しばらく前に外国の大学で教えている日本人の先生たちに話してみたら、やはりモジュールの考え方で行くのがいいのだろうとのこと。歴史学1で古代から現代まで、歴史学2でも古代から現代までだけど別の主題になるという考えがいいだろうとのこと。ちなみにイギリスの理系の先生たちは、微分積分Iと微分積分IIは、この順序でやらなければならないと主張して、珍しく理系が妙に保守的に見えたとのこと。

それで、2019年の歴史学1と歴史学2をだいたいこのようにした。歴史学1も歴史学2も、どちらも古代から現代までをカバーする。そして、2019年度はどちらも身体の歴史という大きなテーマにする。歴史学1は人間の身体の歴史という主題で、性、出産、健康、疾病、死という、身体そのものに起きている現象を、社会文化のフレイムワークに位置付ける。歴史学2は、人間の身体の構築という主題で、神、ジェンダー、人種、障害、動物などが、どのように概念として使われて人間の身体の理解に貢献したのかを説明する。いずれも古代ギリシアから始まり、現代で終わる。ちなみに、2019年の歴史学1は、これとうまくつながる主題で、古代から現代までカバーできる主題になるといいだろう。

もちろん、もう一つの古代ギリシアから現代までをカバーする方法がある。何度も古代から現代までを繰り返すという形である。性に関して古代ギリシアから始まって現代まで行く、次に出産について古代ギリシアから始まって現代まで行く、次は健康概念で古代から現代まで、云々。このような繰り返しパターンもありえるが、一学期で古代から現代までを何往復もするのは、ちょっと不自然じゃないかと思う。だから古代から現代までの流れは一つ、そこにさまざまな主題をはめこむという流れを考えてみた。とにかくまずは試してみます(笑)