2018年に選ばれた英単語は toxic とのこと。これは17世紀にラテン語の toxicus から派生して「毒がしみ込んだ」「毒に侵された」という意味になる。これはギリシア語でいうと、pharmakon toxikon という言葉。しかし、「毒の」という意味は pharmakon のほうで、toxikon という言葉は「矢」という意味である。そこをラテン語が「毒の」という意味で輸入した。いきなりそういうワザで始まりますか(笑)
現在の toxic という単語がどのように使われるか。共用語のランキングを順位で並べると、このようになっている。
Chemicalがやはり最上位であることは自然である。Substance, Gas, Waste, Air なども自然な発展である。しかし、第7位の Culture、第6位の Relationship、そして第2位の Masculinity という言葉というのは、「毒の」という概念が個人の関係・社会の関係・政治の関係などを考えるうえで、「何が毒なのか」という概念が重要になっていることを教えている。とても面白い。そして、そこで医学史の研究者が何をできるかということを考える大切な要素である。