中世ヨーロッパの薬学書

An illustrated Old English Herbal - Medieval manuscripts blog

British, Library et al. A Medieval Herbal: A Facsimile of British Library Egerton Ms 747. British Library, 2003.

 

中世のヨーロッパやイスラム圏の薬学の歴史の研究は興隆している。薬の記録は残りやすく、新しい研究をしやすいのだろうか。しかし、今回の論文では、この領域はまったく手が出ない。ラテン語ができないのと、herbal や materia medica と呼ばれる薬学に触れる難しさがある。やはり pharmacology で説明してくれる部分があると良い。日本では、明治以降の薬学者たちの一部が日本の漢方を説明しているので、少しわかりやすいだろうと思う。

ヨーロッパの中世の薬学書はイラストが入っていると美しく人気がある。大英図書館Egerton Ms 747 という番号の、水準が高いイラスト入りの書物は素晴らしい。現物は 260mm × 168mm で書籍も立派である。大英博物館のマテリア・メディカによく触れているブログもあり、こちらのほうは楽しいけれども、象(エレファント)をどう描けば分からない、ヘビと植物がからみあって描かれるとか、イラストがぶっ飛んでいるものが多い。