SPAC(静岡舞台芸術センター)の『ふたりの女』

spac.or.jp

SPAC(静岡舞台芸術センター)の『ふたりの女』を観てきた。作品は1980年頃に唐十郎が書いたものである。主題は精神疾患あるいは生霊や死霊が憑くという現象である。この現象は、11世紀の『源氏物語』の「葵」の巻、14世紀の謡曲の「葵上」、20世紀の三島由紀夫の近代能楽集の『葵上』に加えて、チェホフの「6号室」などの仕組みを組み合わせて表現されている。伊豆の精神病院と東京での精神科医という設定を取っており、光一、葵、六条という古典的な三人に加えて、その同僚や別の精神病患者などが登場する。
 
宮城さんの演出においては、葵上や六条御息所精神疾患や物憑きという部分よりも、光源氏精神疾患に引きずり込まれていく部分が強く印象に残った。たぶんそのせいで、精神疾患という特別な状態があるというよりも、それが様々な人々に着実に広まっていく世界を描いたように感じられた。実佳と話していたのだが、最初に舞台の床に描かれていた直交する模様は、平安京の通りをあらわしていて、それが乱れていくように感じられた。
 
とても面白いので、ぜひご覧になってくださいな。英語の字幕もあり、外国人と一緒に行くのにもとてもいいです。ただ、今日の夕刻の公演で今回は終わりです。