『ドクター・ホフマンのサナトリウム』

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SPACからもらったさまざまなパンフリットの中に、埼玉県や神奈川県などの自治体がサポートする芸術文化団体の今年度の活動を公告するものがあった。もちろんSPACも静岡県が同じことをしているわけである。その中に豊橋市の団体の紹介があり、そこが2019年の12月にサポートする演劇が『ドクター・ホフマンのサナトリウム』というタイトルのものであった。少し調べると、神奈川県も11月にはこの作品の公演をサポートするとのこと。

内容は、KERA ことクラリーノ・サンドロヴィッチという日本人の劇作家による新作である。カフカが晩年に結核で死亡したことは有名であり、最後の2か月ほどを「ドクター・ホフマンのサナトリウム」で過ごす。ただ、サンドロヴィッチの芝居では、そこでカフカが未完の大作の小説の遺稿を残しており、それが「ドクター・ホフマンのサナトリウム」という小説であったという話である。私は観たことがないが、非常に優れた劇作家であると聞いているし、科学や医学や生命科学の問題にも取り組んでいるとのこと。

この作品は観ておこう。この主題は、カフカ結核などの問題もあるが、医学史の研究者としては、症例誌の重要な問題と深い関係がある。史料の中に、患者自身が書いた記録が残っている場合に、それをどう考えるのかという大きな問題である。もちろん、著名な方々が優れた評論を書いてくださると思うけど、自分で見ておきたい作品である。