エコノミスト・エスプレッソの優生保護法の記事

No issue: forced sterilisation in Japan

Victims of the government-run programme meet to demand compensation at a conference in Tokyo today. An estimated 25,000 people were sterilised under the Eugenic Protection Law, enacted in 1948—and not repealed until 1996—to prevent the birth of “defective descendants”. The law focused on people with hereditary conditions such as epilepsy and learning disabilities. The youngest victims were just nine years old. Eugenics policies flourished across the world in the 20th century, mostly targeting those deemed unfit or too poor to have children. Sweden is among several governments that have owned up. Japan’s health ministry, however, appears to be digging in for a fight against a wave of compensation claims that began in January. It says the operations were legal at the time, when the nation was struggling with over-population and other social problems. More lawsuits are on the way: a hotline set up by a team of legal experts has attracted dozens of calls.

 

エコノミスト・エクスプレッソというサービスがあり、早朝にメールの記事を毎日サービスしてくれる。私がイギリスに留学したときには、週末の新聞を読むのがとても楽しい部分だった。迅速な対応が必要な緊急報道という、NHKが得意な技術系の理念ではなく、世界で起きたことについて少し考えてまとめる一呼吸があることが、のんびりしている私の性格にあっているのだろうと思っている。今回は最近の優生保護法をめぐる報道をまとめた記事で、双方の考えを適切にまとめたいいものだなと思う。

農村医学・社会医学に関する論文と日本医史学雑誌の公開

jsmh.umin.jp

 

杉山章子先生の「農村医学の形成と発展」という論文がある。長野県臼田町の佐久病院の戦後の歴史を記述した論文である。若月俊一の農村医学・社会医学を称賛するトーンで構成されている箇所が多いけれども、「農夫症」の概念や、農薬使用の拡大などに関して詳細な記述が多く、とても役にたつ論文である。

ちなみに、この論文は『日本医史学雑誌』に掲載され、その雑誌は3年前まで無料で公開されるというルールになっている。日本医史学学会は1927年に創設された。そのときに機関誌を出せばよかったが、それ以前の1880年から刊行していた『中外医事新報』を刊行し続けた。1941年にこれを『日本医史学雑誌』と改名してそこで第一巻を出し、1944年末の第4巻まで刊行した。1927年から1944年までの中外医事新報と医史学雑誌は、思文閣が復刻しているので、こちらはウェブに載っていない。しかし、『日本医史学雑誌』が1954年に復刊してから、「3年前」までは公開されている。おもしろい論文や記事もとても多いです。ぜひご覧くださいませ!

 

19世紀後半イギリスの「薬草エクストラクト」の宣伝

discovery.nationalarchives.gov.uk

イギリスの社会医療史学会のガゼットの一面が、メイソン社という製薬会社のとても美しい小さなポスターだったので、10分くらいだけ調べてみた。もともとは19世紀のにイギリスのノッティンガムで起業された小規模の化学・薬学の会社である Newball and Mason が作り出した薬品であり、Mason's Extract of Herbs である。会社の共同経営者であった Thomas Mason が1870年代に作り出し、1875年には本格的にその会社を作る工場も作った。ポスターを見ると、子供用、成人用、高齢者用、自然系などの色々な主題と絵柄を使って、たくさん作られている。本格的にリサーチをしている時間はないが、これを念頭において、日本の薬品の広告を取り上げてみよう。いま近代で考えているのは、大正・昭和に多くの作品を公表し、中将湯の一連の新聞広告を築いた人物である高畠華宵の作品である。何回かブログを公表したことがある。中将湯むけの美しい画像が一点か二点みつかるといいのだけれども。

 

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akihitosuzuki.hatenadiary.jp

 

akihitosuzuki.hatenadiary.jp

インターメディアテクとその絵葉書とアフリカ美術

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東京駅の元中央郵便局の建物に、東大総合博物館が都心向けの支部「インターメディアテク」を出している。アカデミックなアイテムをたくさん並べている面白い空間である。たまたま、博物館ではなくインターメディアテクで展示されているものに関して、雑誌の特集号の表紙で利用するための申請や調べ物をする理由があって、二日ほどインターメディアテクに通った。主に研究者の方に話を聴いたりするなどで、大変勉強になった。絵葉書も充実しており、大きな奇形の手のレントゲン写真や、18世紀のウプサラ大学の解剖学教室の絵葉書など、どれも奇妙で美しい。

私が嬉しく意外だったのが、アフリカの仮面や彫像などを非常に多数入れていることである。これは現在協力しているパリのケ・ブランリ・ジャック・シラク博物館のアフリカ芸術の巨大なコレクションなのか、それとも20世紀前半の東大が実際にアフリカの彫刻などを持っているのか、ちょっと分からなかった。でも、展示されている多くのアフリカの彫像や仮面が、どれも素晴らしかった。東京駅の目の前の建物にアフリカの彫刻が並ぶというのは、世界の大都市が持つ力をつくづくと感じる出来事であり、東京が世界都市になっていることを実感した。

予防接種とヒステリーの事例8件

www.sciencedirect.com

アメリカのCDCの研究者たちが軸になって書いた面白い論文。予防接種に対するネガティヴな対応が不安を軸にして出てきた事例がどのくらいあるのかというもの。さまざまな医学系論文のデータベースを検索して、予防接種とヒステリーと呼ばれていたものが繋ぎ合わされた事例を探したもの。1992年のイランから2010年のアメリカまで合計8件があり、破傷風ジフテリア、インフルエンザ、そしてヒトパピローマウィルス(HPV)も含まれている。やはり学校が多く、女子によくみられることは事実である。この現象は、予防接種の政策にとってネガティヴにはたらく。予防接種への信頼が低下し、接種率もさがる。これをどのようにようにクリニカルにマネジメントをして、きちんとした政策を確立しなければならないという。

 

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