熱帯の気候と植民地

必要があって、熱帯気候順化についての論文を読む。文献は、Kennedy, Dane, “Climatic Theories and Cultre in Colonial Kenya and Rhodesia”, Journal of Imperial and Commonwealth History, 10(1981), 50-66.

植民地時代のケニア・ローデシアでは移民した白人を熱帯の気候や自然環境の害から守るために、さまざまな防護手段が発達した。熱帯の直射日光は有害だから独特の生地でできた帽子をかぶるなどである。その中で衣服や住宅に関するもの、一日の時間の過ごし方、休暇の過ごし方などに関するものは、ライフスタイルとしてひとくくりにすると「コロニアル風」といわれるものになる。

この一連の医学理論と防護手段は、見知らぬ土地に到着した植民者の不安を和らげると同時に、「有害で危険な自然環境」という考え方は、アフリカを去れ(来るな)という方向ではなく、アフリカ人と同じように暮してはいけないという、分離と区別を強調した。分離と区別を達成する手段については、それぞれの白人の豊かさによって変わってきたが、最終的には人種的な区別のラインと重なって、白人と現地人の間のライフスタイル上の大きな違いを生み出し、場合によっては「白人だけまとまって現地人とは違う居住地を選ぶ」ということも選択させた。