インドのマリッジ・コンサルタント

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マリッジ・コンサルタントの正解!

 

土曜日のエスプレッソ。今週は強烈に面白い。深海魚が持つ色である「黒」の話、Norman Ohler という小説家・ジャーナリストがいて、私も読んでとても楽しかった Blitzed! というナチスの中枢における薬物の影響の本も書いているが(歴史学者には評判が悪かったとのこと)、彼が新しくナチス下のカップルという味がある歴史書を書いたとのこと、これらも楽しかったけれども、やはり一番楽しかったのは、インドのマリッジ・コンサルタントの話である。
 
インドのムンバイの国際ビジネスの話である。日本で何というのか知らないが、結婚相談所というのかしら。お見合いおすすめ相談所というのかしら。教養富裕層の男性女性を相手にしたビジネスで、インドのおばさんが出てきて成功談を語り、それがドラマ風に構成されている。ここを見るとインドのお見合いの規模が分かる。なかなか素晴らしいです。

リンダ・ロンシュタットとモハメッドのラディオ

今晩のお風呂に入って、カーラ・ブルーニのCDを掛けていた時に、45年くらい前によく聞いていた音楽が蘇って、それを歌っていた歌手の名前も調べて分かり、中学生時代の音楽の世界の大切な部分が帰ってきたのでメモ。
 
お風呂でぼうっとしている時に、歌詞の中でタイトルになる部分が、突然に帰ってきた。 Mohammed's Radio ♪である。これが分かれば、Google で検索して、歌手の名前、アルバムの名前がわかった。歌手の名前はリンダ・ロンシュタット、アルバムの名前は 1978年に発売された Living in the USA である。 アマゾン・プライムでそのアルバムを掛けて、一つ一つの優れた唄を思い出した。その中でも彼女の Mohammed's Radio は素晴しい唄だと思う。もともとはウオレン・ジーヴォンの名曲。
 
彼女は私の青春の中の本当の実力者だった。私が最高だと決めていた歌手はオリヴィア・ニュートン=ジョンだった。そのような時に、彼女よりもはるかに歌がうまい女性歌手が現れた。それがリンダ・ロンシュタットだった。 Living in the USA は何度も何度も聴いた。ついでに書くと、エミルー・ハリスも本当の実力者で、Roses of Cimaronも何度も聴いた。それでも、決めたことは変わらなかった。というか、変わらないと決めているというのが正しいのだろう。
 

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1978年のアルバムです

世界の国家・都市別の covid-19 の死者数のデータ処理

 
エコノミストからもうひとつ非常に面白いデータ。covid-19 のインパクトを国際比較したという記事である。いくつかの大切なポイントがあり、一番重要なのは、死者数に集中していることである。具体的には、必ず記録される死者数と、その中でcovid-19 によるとされた死者数の両者を較べてみるという手法である。これが最も重要な手法だと思う。いくつかの国家では第一波のピークが過ぎている、ある国ではこれから第一波ということがはっきりとわかる。面白い問題は、一般死者数とcovid-19 における死者数のズレである。ヨーロッパではだいたい一致しているし、スウェーデンやドイツやデンマークなどの福祉のお手本の国家ではきちんと一致している。一方、中南米ではズレが非常に激しい。
 

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スウェーデンやドイツの一致したデータ

 

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中南米諸国のズレたデータ


 
日本のニュースでは、この問題をめぐる議論になかなか出会わないような気がする。死者全体の数と covid-19 による死者の数の双方を出してくれると、状況をきちんと把握できる。患者数が東京で再び急速に増加しており、covid-19 による死者数はほとんど変化していないのだから、死者数一般のデータに言及してくれると、重要なことがわかると思う。

新型ウィルスとエアーコンディショナーについて

https://www.qut.edu.au/news?id=165868

 

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エアーコンディショナーの効果

covid-19 についての原稿を書いていて、自分がこれまであまりよく知らなかった食肉工場を取り上げている。現在の食肉工場が患者のクラスターが大量発生した理由の一つが、冷たい環境を保つために換気が少ないからであることが分かった。ちょっと嬉しいものですね。 一番上の素晴らしいサイトをご覧ください。

 

 

英語の訛り

Kramer, Peter D. Moments of Engagement : Intimate Psychotherapy in a Technological Age. 1st ed edition, Norton, 1989.

プロザックについての書物が非常に著名であるクラマー先生がもう一冊本を書いていて、そこで ego をアメリカ英語とイギリス英語で発音がどのように違うのかという話を書いていた。私は イギリス風が強く、そこにアメリカ風と日本風が混じりこんでいるというアクセントで、文頭の e を「イ」と読むというイギリス風のアクセントがある。economy を「エコノミー」ではなく「イコノミー」、ecology を「エコロジー」ではなく「イコロジー」と発音するという流れである。発音記号で書くとイギリスが ɪˈkɒnəmi 、アメリカが əˈkänəmē である。

アイスランドのクジラ博物館、ペニス博物館、そしてナプキン・コレクション

www.atlasobscura.com

 

 Atlas Obscula という楽しいサイトがある。世界の妙な観光地や土産物の案内のコレクション。今回の訪問は、新型ウィルスに対抗する日本のキャラの「アマビエ」を確認する仕事だったが、入口でアイスランドの博物館の紹介があった。私はアイスランドのファンである。理由は自分でも分からないが、若い頃にトナカイの養殖者になろうかと考えた時期があり、無根拠な連結でアイスランドのファンになったのかもしれない。その関連で、今から25年ほど前に、アイスランドから短期留学した若い大学生たちが、夜中の山手線で「アイスランドの首都を知っているか?」と大きな声で質問していたので、それに「レイキャビク!」と大声で答えたという輝かしい業績もある(笑)
 
そのアイスランドに関する記事を読みだして、やはりトリコになってしまった(笑) アイスランドの人口は30万人ほどで、博物館は小さなものが非常にたくさんある。数え方によっては300点もある。ある小さな町で人口は200人くらいだが博物館は7つあるとのこと。個人のコレクションみたいなものである。それを博物館と呼べるかどうかはよく分からない。その中で比較的立派なものはクジラ博物館とペニス博物館。クジラ博物館は本をKindle で売っていたので買ってみた。ペニス博物館の英訳は Phallological Museum で、phallological などという英語は存在しないが、ほとんどすべての人が意味が分かる(笑)
 
今回の記事の中心はナプキン・コレクション。アイスランドの女性のもので、1955年に始められ、個人で14,000点のナプキンを集めている。空港で貰ったとかピザ店でもらったとか、結婚式の時にもらったとか、よくわからないナプキンがとにかく集められている。あれはフォルダーというのだろうか、集めたノートがファイル上になっていて、並べると10メートルを超える長さになるだろう。なんだそれは(笑)

 

ジョン・クレアと迷信と狂気

エコノミストエスプレッソには、毎回、メールの最後に「今日の名言」のコーナーがある。毎日読んで、いい名言はセーブすることにしている。今日の名言はJohn Clare (1793-1864)  19世紀イギリスで著明な詩人が残した一言である。
 
“Superstition lives longer than books, it is engraved on the human mind ‘til it becomes a part of its existence.” 
 
エコノミストではその雑誌らしく迷信をアタックする方向であり、著名なクレアも言っているという脈絡で出したのかもしれない。少し調べたら、それよりもずっと深い。きっと、より深いものにしているのは、クレアは晩年の20年間ほどを精神病院で過ごしたことである。昔の話になるが、私は実際にその精神病院に行ってみた。緑の芝生と庭園に囲まれた美しい田園の精神病院で、史料に関してご相談した。そのことを考えて、この文芸評論のこの名言を読むと、深い意味を持つようになる。10月の報告にそなえて、この話からはじめよう。Jonathan Bates によるクレアの伝記の決定版は 801円という安さ、また以下の URL がこの名言のコンテクストの説明です。