気候馴化の言説(2)

 南方医学のペーパーの締め切りが迫ってきた。今回は気候馴化の言説の話なので、数少ない古典的な研究論文を読んでいる。このブログでもだいぶ前に取り上げた科学的言説の地理学の第一人者、リヴィングストンが1987年に出したペーパーである。気候馴化の概念は当時はまだ科学史研究者によって本格的に取り上げられたことがなかったが、この未開拓の領域を19世紀から20世紀まで広く目を配ってサーヴェイして流れを整理し、社会的・イデオロギー的な背景に触れ、「進化」「帝国主義」や「人種」といった他の重要な概念との関係をまとめた論文。典型的な standard citation work で、しかも面白く読める。
 
文献は、Livingstone, David N., “Human Acclimatization: Perspectives on a Contested Field of Inquiry in Science, Medicine nd Geography”, History of Science, 25(1987), 359-394.