アナール派の社会史の集大成である5巻本の A History of Private Life は、イギリスで暮らしていたときにブッククラブで買って(笑)、5巻揃えて持っている。そのうち20世紀を扱った第5巻の、身体と性を扱った部分を、必要があって読む。
オーガズム、セクソロジー、セクソロジーのセラピー、ホモセクシュアリティなどの話が簡潔にまとめられていて、頭を整理するのに役立つ。フランスらしいエスプリというのかな、簡潔だけれども雄弁な史実を入れて記述を引き締めている味がお洒落でとてもいいんだけれども、こういうしゃれたセリフというのは、そのまま学生に言っても絶対に機能しない。「アリエスがユニセックスの時代といったように、女性は職業や経済においても男性化しているし、理想とする肉体も、適度に引き締まったアンドロジニーなものになったという意味で、男性化している。でも、男性グラビアをみると、まだクラナッハというよりルーベンスだよね」というようなセリフは、教室で言っても学生はしらけるだけだし、それを説明しようとして画像をつけたりすると、しらけるだけではなく軽蔑される。(どちらも似たようなことをやってみたことがあるわけですね 笑)もともと、人のウィットで受けようという根性が浅ましい。