木下是雄『理科系の作文技術』(東京:中公新書、1981)
かつての「文章読本」は美しい文章を書くお手本であり、その書き手はしばしば著名な文学者であったのに対し、近年では、自然科学系・社会科学系の学者が「文章の技法」を指南する例が増えてきている。この書物は、そういう潮流を作り出した書物の一つだろう。この書物は、自然科学者が書いた理科系向けの「作文技術」で、30年以上の人気がある。英語の論文術をもとに書きすすめられている部分が多く、学生やポスドクに英語の論文を書く指導をするときには、とても便利である。4章のパラグラフ論、5章の文の構造論(「逆茂木型の文章を書くな」)などをPDFにして、学生にはいつでも配れるようにしておいた。また、私自身も、英語でも日本語でも、文章技法は言うまでもなく、安定した作文技術を身につけていないので、とてもためになった。