『彰古館―知られざる軍陣医学の軌跡』(東京:防衛ホーム新聞社、2009)
東京世田谷の陸上自衛隊三宿駐屯地に陸上自衛隊衛生学校があり、その校内に「彰古館」が開設されている。明治初年から現在にいたる、陸軍の軍陣医学関係の資料が収集され、展示されている。軍関係の資料の多くは戦災にあい、また終戦時に焼却されたり散逸したりしたが、彰古館にはそれらから免れた資料や、戦後に大東亜戦争衛生史編纂の参考資料として集められた資料などが存在している。この資料の中から、所蔵品を中心に歴史的に面白いものを紹介した連載記事を集めて書物にしたものが本書である。この書物は彰古館に行くと1500円で購入できるが、医学史の研究者にとっては必携の書物である。さすがに陸軍の医史学の記録だけあって、多くの迫真感がある写真が用いられているのも素晴らしい。「乃木式義手」と呼ばれた日露戦争後に製作された義手や、広島の原爆調査資料などの写真は、小さいものではあるけれども、とても興味深い。関東大震災の時の陸軍の災害対策医学が論じられている部分を読んでいて、橋本先生の科研共同研究をこれで行こうかなというアイデアが浮かんだけれども、でも、これは本格的な仕事をするのは難しいだろうと思う。
東京世田谷の陸上自衛隊三宿駐屯地に陸上自衛隊衛生学校があり、その校内に「彰古館」が開設されている。明治初年から現在にいたる、陸軍の軍陣医学関係の資料が収集され、展示されている。軍関係の資料の多くは戦災にあい、また終戦時に焼却されたり散逸したりしたが、彰古館にはそれらから免れた資料や、戦後に大東亜戦争衛生史編纂の参考資料として集められた資料などが存在している。この資料の中から、所蔵品を中心に歴史的に面白いものを紹介した連載記事を集めて書物にしたものが本書である。この書物は彰古館に行くと1500円で購入できるが、医学史の研究者にとっては必携の書物である。さすがに陸軍の医史学の記録だけあって、多くの迫真感がある写真が用いられているのも素晴らしい。「乃木式義手」と呼ばれた日露戦争後に製作された義手や、広島の原爆調査資料などの写真は、小さいものではあるけれども、とても興味深い。関東大震災の時の陸軍の災害対策医学が論じられている部分を読んでいて、橋本先生の科研共同研究をこれで行こうかなというアイデアが浮かんだけれども、でも、これは本格的な仕事をするのは難しいだろうと思う。