アンドリュー・スカル『文明と狂気』(2015)

精神疾患と精神医学の歴史。ミシェル・フーコー『狂気の歴史』から半世紀たち、英語圏、ヨーロッパ、そしてそれ以外の数多くの地域で、あらゆる側面で研究が進展し、深まり、広がりました。日本においてもその動きは確実に始まっています。古典古代にはじまり、魔女狩り、ピネルら近代精神医学の創設者たちの再評価、精神病院への「大監禁」、精神分析優生学と断種とナチスによる精神病患者の殺害、戦争神経症、脱施設化、そして現在の昏迷。 この壮大な動きについて、無数の研究の蓄積の上にたって、本格的な著作を一人で書き下ろすことができる学者は、現在ではアンドリュー・スカルの一人しかいません。12章立てで450ページ、的確な記述、100点を超える白黒画像に20点を超えるカラー画像、そして膨大な参考文献。長年この領域に新生の息吹を吹き込んできた学者の畢生の大作です。これを読まずに死なないでください。

 

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