ロンドンのウェルカム図書館のブログより。今回は博物館の歴史と、ウェルカム図書館の歴史について。
博物館は、もとは16世紀の王、貴族、教会有力者などの個人的なコレクションをもとにして、18世紀末のフランス革命以降、人々にあるべき教育を与える civic engines として構想された。19世紀の後半には、ある都市に文明化されるときに博物館と図書館が必要なのは、下水、警察、公立精神病院が必要なのと同じような意味であるという台詞で決めた。ロンドンでテート・ギャラリーがミルバンク刑務所の隣に作られたのはそのような意味がある。
ウェルカムのコレクションは、成功した製薬業者であるヘンリー・ウェルカムの個人的なコレクションであった。このコレクションは、基本的には進化論の発想を基盤にしており、ヨーロッパはもちろん世界各地のさまざまな医薬に関するコレクションを、未熟で野蛮なものから科学知識と洗練に基づいたものに配列されている。このようなコレクションの基本発想自体をどう扱うかは、これからの議論の一つの焦点になるだろう。
日本における医学史の研究も、知的・学問的な議論の発展である方法論や分析の視角などの研究の進展と並行して、より具体性と現実性を持つ仕組みである、医学史を研究しその成果を共有するための素材の収集と考察、インフラストラクチャーの形成、そのような研究メカニズムのメタレベルの分析などを走らせる時代に入っている。このブログと Facebook, Twitter での発信は私自身がおこなっているささやかな試みとなり、また日本学術振興会から資金を得て「医学史と社会の対話」というサイトを始めた。この方向での発展が結実するように、がんばります。
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