一年生・二年生向け一般セミナーを運営する方法を少し前進させるやりかたをやってみて、結構うまくいったので、メモしておく。
学部生向けの講義、大学院のセミナー、それに一対一のチュートリアルは、私が学生時代に多くを学んだ素晴らしい先生の方法を学んでいる部分があり、それなりに大学教員としてうまいかまあまあの水準だと思う。ひどく下手なのが、一年生・二年生向けの一般セミナーである。何をどうすればよいのかよくわからぬまま、20年くらいの年月が過ぎた。うまくいった年もあるし、とても悲しかった年もある。今年発見した方法は、春学期については、多少の手ごたえを感じることができたので、メモしておく。
1. 基本テキストとして、メアリー・ドブソン Diseases を選んだ。英語コースとみなす学生は英語版を、日本語コースで履修できる学生は日本語版を選んだ。
2. ペスト、ハンセン病、梅毒という順番で疾病が30個選ばれ、それぞれの疾病の歴史が一章ずつあてられている。
3. この配列だと、古代から始まって現代にいたるという歴史学の正統的な方法で話が進むという構造が避けられ、それぞれの疾病がエピソードが付け加えられる構造になる。
4. これを1章ずつ、その場で読ませ、重要なポイントを皆でディスカッションし、それをまとめたものを英語で書いてもらう。30分+30分+30分 の配分になる。
5. これを6章実施して、だれもが最初の6章を読んでいるという状態にする。
6. 次に、時間を2回分つかって、皆で読んだ6章の内容をエクセルの表に入力する作業をした。エクセルの項目は私が決めた。以下のような構造である。
Table 1: Infectious Diseases and Their Stay in Europe | ||||
Arrival | Decline | Prevention | Cure | |
Plague | ||||
Leprosy | ||||
Syphilis | ||||
AIDS | ||||
Typhus | ||||
Typhoid | ||||
Source: Mary Dobson, Disease: The extraordinary Stories behind HIstory's Deadliest Killers (2007) |
7. このエクセルの表を Dobson を見ながら挿入していく。本来、もっと議論をしながら挿入するとよかった。
8. このエクセルの表に、学生一人が一つの疾病についての章を読み、新たに足していくという形で発展させる。一回だけ行ったので、全部で13個の疾病の表、2回行えば、全部で20個の表についてのエクセル表を共有することになる。我々の表は以下のようになっている。
Arrival | Decline | Prevention | Cure | |
Plague | ||||
Leprosy | ||||
Syphilis | ||||
AIDS | ||||
Typhus | ||||
Typhoid | ||||
Chagas Disease | ||||
Malaria | ||||
Tuberculosis | ||||
African Panosomiasis | ||||
Puerperal Fever | ||||
Cholera | ||||
Encephalitis Lethargica | ||||
Mary Dobson, Disease: The Extraordinary Stories behind History's Deadliest Killers (2007) |
9. ここまでの過程は、個人でテキストを読んで理解する訓練をするーそれを一覧表にまとめるー他人が読んでいないテキストを共同の表に提供し、自分が読んでいないテキストの他人のよるまとめも自分の表に取り込むという三つの流れを融合させている。
10. これをベースにして、面白いことを発見してプレゼンをしてみた。ドブソンの本は非常にうまく使えたし、表の使い方もうまかった。プレゼンの画像の利用については、私をはるかに凌駕していたというか、自分の画像のプレゼンが悲しいほど下手だということを実感した(笑)
医学史のアスペクト、会社などの組織で個人で行う仕事のアスペクト、集団で行う仕事のアスペクト、それを用いて再度個人の仕事をするアスペクトなど、色々な性格の仕事を一つのベースで行わせてみた。