移民と民主主義とスウェーデンでの選挙

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民主主義と移民の問題は、世界中で強い不安を持つ人々が多いだろう。移民が先進国のさまざまな水準を将来的に上げる可能性は高いが、現在の段階で落としている国が多いことも事実である。貧困率や犯罪率も高い。そのせいでイギリスの Brexit が勝利したり、アメリカでトランプが大統領選に勝つという、現在の先進国にとって「ありえないこと」、私にとっては「あってはいけないこと」が起きている。これが民主制の結果であるとしたら、民主主義の時代が終わりつつあるのだろうかなどと思う。

その問題を正面から取り上げた総選挙がスウェーデンで行われたとのこと。基本は移民を受け入れてこれまでの良い意味で教科書的な政策をとる与党の Social Democrats と、移民を拒んで保守反動的な政策をとる Sweden Democrats の対立であった。後者の「スウェーデン民主党」が近年好調に伸びていたため、「社会民主党」という与党が敗北し、スウェーデンでも保守反動が強いということが民主主義によって示されるのかという不安があったとのこと。

しかし、今回の総選挙の結果は、私たちがほっとする現象だった。左翼側の社会民主党が勝利して第一党の位置をキープし、第二党は同盟系であり、保守反動のスウェーデン民主党は第三党にとどまったという。反移民派の反動組は政権には入れないだろうとのこと。こうなったのは、民主主義が機能した規模が大きく、投票率が高かったからとのこと。民主主義が十全に機能し、そしてその機能が継続すれば、反移民主義などを唱える政権が民主主義で勝ち続けるということは起きないということを示唆しうるエピソードだと思う。

そして、スウェーデンがこれができるのか。それなら日本にもきっとできる。それを意識しよう。