日系移民と帝国主義的な侵略

必要があって、日系移民が帝国主義的侵略を正当化する文脈で用いられたことを論じた論文を読む。文献は、Azuma, Eiichiro, “’Pioneers of Overseas Japanese Development’: Japanese American History and the Making of Expansionist Orthodoxy in Imperial Japan”, The Journal of Asian Studies, vol.67, no.4 (2008), 1187-1226.

1930年代から40年代にかけて、明治期にアメリカに移民した日系一世たちの物語が語りなおされて、満州への帝国主義的な進出と共鳴し、それを正当化するような形にされた。カリフォルニアに移民した「おけい」さんは、木村毅なる物書きが小説にまで仕立て上げたほどであった。白人国家であったアメリカにおける民族的少数派の「日系移民」と、大日本帝国の植民地の支配者としての「日本人」は、相互に支えあって意味を与え合う関係にあったのである。