キナとキニーネの研究者の伝記

Howard, John Eliot (1807–1883), quinologist | Oxford Dictionary of National Biography

 

昨日の歴史学の授業は20世紀のマラリアの話をして、その中でマラリアに有効とされていたキニーネの話をした部分があった。たまたま、今日の Oxford DNB は、19世紀にキニーネを研究したジョン・エイオット・ハワードという人物の記事だった。父親は成功した化学工業関連の人物で、教育などは自宅で受け、のちにそれを発展させてキニーネの研究者となり、植民地のインドにキニーネが取れるキナを配って歩いたという面白い人物である。 
 
DNBの記事では掲載されていないが、マーク・ホーニッヒスバウム先生という面白い医学史関連の物書きがいて、彼が2001 年に刊行した書物では、ハワードたちのことも面白く書かれている。面白い大きな理由は、インドの村にキナを配ったタイプと強烈に対比されるかのように、ジャワ島では別のゲームが進んでいた。オランダがキニーネ生産で世界を制覇する高度に発達した圧倒的に優れたキナの品種の独占栽培である。福祉型でキナが世帯に平等に分割されているモデルと、洗練された資本主義で科学的なキナを国家が独裁するモデル。15年以上前に読んだ本だが、この対比がとても面白かった。アマゾンを見たら、ハワードの古典的なキニーネ学の本がリプリントで1600円くらいで買えるので、これも買っておこう。
 
今回の記事を読んで、ハワードが熱心なガーデニングの徒であったことや、敬虔で活発なクエイカ―であったということも強調されていた。クエイカ―というのは、私の人生の要所要所で出てきて、深い印象を残す人たちである。幸いにしてそうではないが、ポーター先生がクエイカ―だったとしたら(笑)、私はきっと改悛してクエイカ―になっていただろう。いや、冗談ですよ、冗談(笑)
 
Honigsbaum, M. (2001). The fever trail: the hunt for the cure for malaria, Macmillan.