江戸時代の製薬

小石, 元瑞 et al. 究理堂備用方府 . 究理堂備用製薬帳秘. vol. 30, 恒和出版, 1980. 江戸科学古典叢書.
 
小石元俊(1743-1806)
 
1788年(天明8年1月)の京都の大火に罹災。居を大坂に移した。1796年に再び京都に帰るまで、大坂で医業。この居宅は衛生堂と称した。大坂時代に橋本宗吉を教えて、江戸の大槻玄沢の芝蘭堂塾に入門させ、蘭方を京都にも設立しようとする。1801年(享和元年)ごろ、京都に医学塾究理堂を開き、京都における蘭方医学塾の雄となった。内景(解剖学)と病理学はもっぱらオランダの説であり、薬治は漢方と蘭方を混ぜて用いている。漢蘭の折衷である。
 
究理堂備用方府は三編全九巻、ここに掲げる諸薬の製錬法(製薬化学)は、究理堂備用製薬帳秘に記入されている。刊行は1833年と1846年の二回。13の新しい製薬法が足され、これらは15のオランダ系列の医学書からとられている。また製薬方法のフラスコや加熱の方法など、図を用いて教えることも行っている。基本は、19世紀前半の京都で医学を学んだ学生たちに、製薬用の基礎的な化学をアップ・トゥ・デートで教える仕組みである。
 

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本書より宗田一先生の所蔵よりイラスト。製薬技法を伝える。