https://www.psychiatrictimes.com/film-and-book-reviews/thomas-szasz-appraisal-his-legacy
精神医療に関係している人々はトマス・ザズ (Thomas Szasz, 1920-2012) という精神科医で優れた評論家をご存知だろう。何冊かの日本語の書物も読んだことがあるかもしれない。私は一度だけ大きな学会で講演を伺ったことがある。1992年くらいだったと思う。全盛期は完全に過ぎて、討論の時間には精神科医たちがぼこぼこにやっつけようとしていたが、ザズ先生が粘り強く強靭な論理で立ち向かい続けていた記憶がある。
ハンガリーのブダペストに生まれたユダヤ人。ヒトラーとナチスを恐れて、両親とともに1938年にアメリカに移住した。ブダペストは中欧・東欧で最大で最も美しい都市であり、近現代の医学においても、ドイツやオーストリアとの接点を発展させて大きな発見をする事例が多い。ザズもハンガリー語のほかにフランス語とドイツ語を美しく話し、英語はまったくできなかったという。そこから、精神医学の根本を批判する非常に鋭い議論を展開して、1960年代から70年代には大きな潮流を作り出した。数多くの論点があり、それらが語る歴史、哲学、倫理の議論があった。これは必ず読んでおこう。手軽に読むことができる書評もあります。
Thomas Szasz: An appraisal of his legacy (International Perspectives in Philosophy and Psychiatry) (English Edition)