『ダンボ』とインフルエンザと第一次大戦の戦傷者

ディズニー映画の『ダンボ』の実写版を観た。私は観たことがないが、古いアニメーションの映画はもともとは1941年に公開、日本では10年以上遅れて1954年に公開とのこと。映画が日本では違うものだったのだろうか。新しい実写の『ダンボ』では、もちろんダンボが空を飛ぶ場面が一番難しかったのだろうけれども、実写の象たちの全身や目や鼻が人間らしい表情を持ち、喜びや悲しみが生き生きと表現されている部分が、どうするとああいう映像を作れるのか、好奇心があります。
 
医学史の映像としては、小学生から学者にいたるまで、色々な知識をピックアップするとてもいい映画。まず人間側の主人公は、サーカス団員で第一次大戦に参加して左腕をほぼ全部失うという戦傷を負った戦傷を負った元兵士である。彼がサーカスに帰って来るが、自分が戦傷者であることを、色々な意味で受け入れることができない人物だった。しかし、そこはディズニー映画というかアメリカ映画ですから、そこを乗り越えて、最後には元兵士の戦傷者のサーカス団員となる。
 
主人公の奥様は、主人の出征中にアメリカでのインフルエンザ大流行で死んでしまい、姉と弟は非常に悲しみながら父親が帰って来るのを待っていた。ただ、その父親は、自分の戦傷を子供に言っていないという間違った選択をしてしまい、子供たちはそれにも衝撃を受ける。まあ、そういったことはなんとかクリアできた。このあたりが、ディズニー映画の特徴だろうと思う。ちなみに姉は科学者になりたいという理系志向の少女である。
 
その亡くなった奥様の代わりになるのが、フランスの大道芸人をやっていてアメリカに来た女性である。エヴァ・グリーンという007のカジノ・ロワイヤルの新しい映画でボンド・ガールを演じた女優がこの元大道芸人を演じている。彼女自身も目指しているそうだが、イザベル・アジャーニとほぼ同じような感じ。私はアジャーニもグリーンも、すべてを受け入れることにしている(笑)
 
もう一人、大富豪の興行者がいて、彼も面白い。ダンボを取り込む自分の作戦は成功した画、それと繋がる失敗した部分は、即座にそこを切り捨てていく。彼が高く評価して残したのは、ソ連北朝鮮の民族舞踊の一大ショーのような50人くらいの女性たちの集団舞踏で、AKBなどにもとても良く似ている。それを評価して、一方では個性が発揮される古いサーカス芸人はすぐに首になりそうになった。
 
悪い部分もあるが、良い部分がすごく多くて、とてもいい映画である。来期のセメスターでは障害の身体の歴史を話すから、20世紀の部分のブレイクで、この映画を見せることにしよう。