植民地と植物学

Londa Schiebinger 先生たちが共編された Colonial Botany 2005. 冒頭に置かれたエピソードが面白いのでメモ。

1735年にパリの王立科学アカデミーが南米の赤道地帯に研究部隊を送り込んだ。地球の大きさと形に関する研究である(忘れてしまった・・・) しかし、そこには博物誌の研究も折り込まれていた。ことにペルーの「キンチョウナ」が 重要な焦点であった。ヨーロッパで広がるマラリアをかなり効果的にコントロールできるアカキナノキの樹皮であり、19世紀以降はキニーネと呼ばれている。これをフランスやその植民地で栽培して薬を大量生産しようという試みである。博物誌が、世界の中の通商を通じて国家に益しようという計画である。この計画自体は、キンチョウナが高地でないと栽培できないという壁をクリア出来なかったが、それ以外の多くの植物を持ち帰って研究し栽培が進んでいたとのこと。

もう一つが、スペインとオランダの植民地経営の仕方の違いである。これを指摘したのがカーティンだというので、読んでみよう。基本は、スペインは territorial empire を形成して、イベリア半島の本国を拡大した部分を中南米に形成したが、オランダやポルトガルなどは trading-post empireを作り上げたとのこと。