ヒス束なのか彼の束なのか(笑)

久しぶりに出会った英単語 His bundle. 普通に読むと「彼の束」と理解して大混乱するが、語学辞典であること、そして同義語として bundle of His とも書かれていたので、His は「彼」ではなく人名だと思いだした。これはスイスのバーゼルで生まれ、最後はベルリンの教授となった Wilhelm His Jr. (1863-1934) の業績である。彼の父親 Wilhelm His Sr (1831-1904) は解剖学者であり、最終的にはライプツィヒの教授となる。子供のヒスは「ヒス束」と呼ばれる「束」を心臓に発見した。
 
もうひとつ重要なのは、 trench feverの病原体の発見のような発見である。日本語では塹壕熱とも訳す、第一次大戦の時に戦線の全域でもっとも広まった感染症で、疾病の1/5 から1/3 くらいまで塹壕熱に罹患した。発生はフランドル、フランス、ポーランドガリシア、イタリア、サロニカ、マケドニアメソポタミア、ロシア、エジプトなどであった。著名な人物でこれに罹患したのが J.R.R.トールキン、A.A. ミルン、C.S. ルーイスたちである。この疾病が細菌によって引き起こされるメカニズムを研究して発表して彼の名前を冠されているのが、塹壕熱と関係があるらしい。この具体的な手続きの部分を読もう。