迷信と幻覚の経験と「虫の知らせ」

迷信調査協議会. 生活慣習と迷信. 復刻版 edition, vol. 3, 洞史社工学図書(発売), 1980. 日本の俗信 / 迷信調査協議会編.
 
第4章 今野圓輔「霊魂信仰による生活慣習の分布」102-137
第5章 赤松金芳「民間療法と迷信」138-162
 
面白いのが「虫のしらせ」である。この時期の日本人たちは、霊魂や幽霊の存在自体はほとんどが信じていないのに、「虫の知らせがあるか」はおどろくべき高い支持率である。一番多いのが「あるかもしれない」の46%だが、否定が18%しかいないのに対して、肯定は27%と否定より多い。そして、年齢についても不思議なパターンである。一番多いのは30代、次が29歳以下、そして中年、壮年、老年の順で、逆に肯定が減少していく。男女比でいうと、圧倒的に女性に肯定派が多い。80パーセントまでが肯定している。学歴を見ると、これはさすがに大学高専に否定派が多い。「虫の知らせ」と虫を利用した病気の話は少し違うだろうが、粘りがあることは本当である。