鮭の燻製を食べるために BASIC を習ったウンベルト・エーコ
週末の朝だから、午前中は少しゆっくりする。庭仕事をして、ウェブでどうでもいいことを知識として仕入れて、読まなくてもいい本を読む。今日は、アフガニスタンの一地方であるヌリスタン Nuristan で、かつては カフィリスタン Kafiristan と呼ばれていた地方について調べる。デンマークのコペンハーゲンのアフリカン・アートのギャラリーから、このアフガニスタンのヌリスタン地域についての講演があるというウェブ上の招待状が来た。もちろん行かないけれども、いつもと違う不思議な玉突きに乗ってみた。
Kafiri というのは、「無信仰者」という意味で、これは当時の文脈だと、イスラム教を信じていないという意味であった。その地域に住む人々は、古いヒンドゥー教を信じており、大いに独立心があった人々であった。キプリングの短編「王になろうとした男」もここを舞台として設定されている。この短編が含まれている作品集がKindle で200円だったから買って読んでみた。インドという巨大で複雑な現象に巻き込まれた二人の男が、カフィリスタンに行って王になる話。面白かった。生き残って帰って来た一人は、最後に精神病院で死ぬ。
19世紀の末に、このヒンドゥー教の地域に、イスラム教徒たちが侵入して、彼らの宗教を徹底的に破壊し、聖職者たちを皆殺しにしたとのこと。それを祝して、ヌリスタン「啓かれたもの」と名前を変えた地域である。ヒンドゥー時代の遺跡や優れたアート作品は、多少は残っている。ただ、これはかなり最近だと思うが、博物館に入っていたものが、タリバンに再び破壊されたが、復興されたという。
ウィキペディアに、ウンベルト・エーコがこの地域の言葉にちょっと触れているという、どうでもいい無駄な知識が書いてあり、リンクされていたのでその記事を読んだら、これが面白かった。国際化されてダイバーシティな高級ホテルに泊まったエーコが繰り出す面白い話。ご一読くださいませ。
Medicine Line アメリカ―カナダ国境の北緯49度線の別称
49th parallel north - Wikipedia
無知の告白(笑)学術雑誌の目次をみていて、Medicine Line という言葉が出てきて、意味が分からなかったのでネットで調べた。
おそらく19世紀にアメリカと現在のカナダの間で北緯49度線が国境となったとき、現地の先住民とアメリカ軍が衝突したとき、先住民軍が49度線を越えてカナダ領に入るとアメリカ軍は負ってこない。そのため、先住民は、アメリカ軍をはじき返す不思議な力があるとして 49度線をMedicine Line と読んだとのこと。
悪い奴らが来ないようにするのが Medicine という、悪魔祓い風の発想を憶えておこう。
731部隊(NHKスペシャル)について+日本の大学医学部の学用患者の問題
フィルヒョー全集が刊行中
Olms - Weidmann: Fachverlag für Geisteswissenschaften
ドイツのオルムズ社から刊行中のルドルフ・フィルヒョーの全集。全71巻で、うち半数を刊行済み。全体は5部にわかれ、1. 医学、2.政治、3.人類学・民族学・原始史、4.書簡、5.フィルヒョー研究からなる。 Cinii でみたら、日本の大学でこれを購入しているのは4つのみ。医学史、科学史、政治史、日独関係史、生命倫理学、医療人文学など、さまざまな領域において、必須の全集となります。ぜひ大学図書館などでお買い求めのほどを!
英語ワークショップの開催(9月8日)
以下のようなワークショップを開催します。私の研究室にかかわる若手の学者たちが英語で発表するワークショップです。もう5年くらい続けていて、「この世界をつくる構造」の一つになってきました。
Work in Progress: Young Scholars' Workshop in English
Friday, 8 September, 2017
来往舎2階 小会議室
10:30-11:20: Sayaka Mihara (Ph.D. Student, Department of Sociology, Graduate School of Human Relations, Keio University), “‘Little citizens’ in sickness: Under-five morbidity and health care seeking in prewar Japan.”
11:30-12:20: Ryan Moran, Ph.D. (SSRC/JSPS Postdoctoral Fellow, Humanities and Social Science, Keio University), “Securing the Family in Times of Trouble: Life Insurance, Rural Revitalization, and New Communal Life in Colonial Korea.”
12:20-13:30: LUNCH BREAK
13:30-14:20: Akiko Kawasaki, Ph.D. (Associate Professor, Department of English and American Literature, Faculty of Letters, Komazawa University), “Sharing Death: Fainting in Charles Dickens’s A Tale of Two Cities.”
14:30-15:20: Noriko Ohshima (Ph.D. Student, Department of English and American Literature, Graduate School of Letters, Keio University), “Martial Tulip and Prison-like house: Stoic Retirement in Marvell's Upon Appleton House.”
15:30-16:20: Shi Lin Loh, Ph.D. (D. Kim Foundation Postdoctoral Fellow, Visiting Scholar, Keio University), "Notes on the Introduction of Nuclear Medicine in Postwar Japan".
16:30-17:20: Maika Nakao, Ph.D. (Senior Researcher, Kinugasa Research Organization, Ritsumeikan University), “Radiation in Film: Science and Politics of Radiation Exposure in The World is Terrified.”