関東大震災と東大医学部第二外科の講演会

3月11日の夕刻に、「関東大震災と東大医学部第二外科」というタイトルで、東京大学ヒューマニティーズセンター (HMC) でオンラインの講演会が行われます。二つの講演で、片方は東大人文社会学系の鈴木淳先生、もう一つが私になります。

関東大震災の直後からの医療に、軍隊や日本赤十字が活躍したことは知られていますが、東大医学部も参加したことはあまり知られていません。この講演は、それが成立する過程と、その折のカルテを分析する話になります。前者は鈴木淳先生、後者は私が話すことになります。

私の個人的な話になりますが、しばらくの間、ほぼ全部が日本語で書かれた精神医療のカルテばかり読んできましたが、今回読むのは外科のカルテで、外科という分野の医学史研究をするのは初めてです。また、今回は、ほぼ全部が、ドイツ語か、日本語とドイツ語を組み合わせた特殊な専門的方言で書かれています。このドイツ語と当時の日本語語資料の読み解きを助けてもらうために、東大の院生でドイツ文学や日本の当時の古文書を読む能力をつけた堀弥子さん、正月瑛君、小田泰成君の三人にお願いしました。この三人にとても助けられています。

色々な意味で新しいプロジェクトです。下のURLをクリックして、ぜひご参加くださいませ!

 

hmc.u-tokyo.ac.jp

Japanese translation of Hotez, Preventing the Next Pandemic (2021) appeared

Kayo Takuma-sensei, who teaches international politics at Tokyo Metropolitan University, has translated Peter J. Hotez' Preventing the Next Pandemic (2021). The book analyses the new complicated health situations in international politics and health. Now you can read the book in Japanese translation by an excellent scholar Takuma-sensei!  

 

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詫摩佳代先生が、Peter J. Hotez' Preventing the Next Pandemic (2021)を翻訳されました!邦題は『次なるパンデミックを防ぐー反科学の時代におけるワクチン外交』です。詫摩先生の迅速な翻訳で、皆さまも読むことができます!

 

真夜中のキジのさえずりとトンガの大噴火

トンガの火山で大噴火があったとのこと。BBCのすさまじい映像などを観て、戦慄が走るようである。たまたま環境やその災害の歴史などを調べているので興味があり、調べている。

一つ、もしかしたら意味があるかもしれない情報。土曜日から日曜日にかかる真夜中に、家の近くでキジがケーンケーンとさえずった。目をさまして、どうしたのだろうと思っていたら、注意報の広報があった。携帯をみたら津波とのこと。私の家は海から離れているので、気にしなくていいと思って眠りこんだ。翌朝 TV でニュースを観ていたら、とても大きな津波であったとのこと。

真夜中のキジのさえずりと津波を引き起こした変化に関係があるのかもしれない。気圧が変化したというような情報もあった。関係あったのだろうか。

 

三年ほど前のキジの写真はこちらです。

 

akihitosuzuki.hatenadiary.jp

21世紀の新しい健康・医療の記事と新しい仕事

2022年1月9日のエコノミストの記事。21世紀には消費者と企業があたらしい健康を追及しているという非常に面白い記事である。分かりやすいグラフなどがたくさんあり、私自身も最近使っている Fitbit というデジタル健康機器の話など、ぜひお読みくださいませ。

 

www.economist.com

 

信頼している人々にはもう話してありますが、やや公けな場で私的な状況を説明する時が来たと思います。今から約5年程前に、神経膠腫の大きな手術をしました。発見の経緯、MRIの画像、数時間にわたる覚醒下手術抗がん剤の利用、一年後のもう一回の大きな手術、その後の放射線治療などを経て、現在の状況まで戻り、仕事がかなりできるようになりました。この過程で、慶應病院の佐々木先生、実佳と佳那子という家族、そして国内・国外の医学史の研究者や、同じ研究室・キャンパスの同僚たちは、本当に献身的に助けてくださいました。この方々がいなければ、私はきっと簡単に潰れていました。実感をともなって、そのことを感じています。心の底から、お礼を申し上げます。

 

2022年から始まった新しい仕事の中で、皆さまに報告するべきことが、もう一つあります。Medical History という医学史の学術雑誌があります。現在ではケンブリッジ大学出版局が雑誌として出版しています。Medical History は、日本と世界の優れた医学史研究者たちにとっても、私個人にとっても、特別な重要さを持つ雑誌でしたが、今年から、その雑誌の編集者 Editor となりました。私の後に同誌の Book Review Editor をした Tara Alberts 先生との二人の学者が編集者です。Tara はもちろん、私の前には数多くの偉大な先生たちが編集者であり、彼ら・彼女らを私は深く尊敬しています。私も、微力を尽くして、この雑誌の水準と風格を保ち、発展させることができればと考えています。まだ不完全な部分はありますが、現在の体制はこのようになっています。

 

www.cambridge.org

 

このことを皆さまに報告することは、もちろん政治的な理由があります。この雑誌のような、国際的な言語で書かれた一流誌に執筆することは、とても重要なことです。そのような雑誌を編集することも、少なくとも同じくらい重要です。英語などの国際言語を使う仕事に、人文社会系の学者がたずさわること。その部分で実践を示すこと。それが、私の政治的な野心であり、皆さまに考えていただきたいことです。皆さま、このことを色々と考えていただくよう、お願い申し上げます。

 

リサ・カートライト『X線と映画』が翻訳されました!

リサ・カートライト『X線と映画』が翻訳されました!近年、医療における映像が非常に注目されるようになりました。私自身も20世紀前半の精神病院の映像を見るようになりました。そのような研究を構築したのがカートライトの原著です。

翻訳を送ってくださったのは東都大学の看護学科で教えておられる望月由紀先生です。翻訳も素晴らしく、あとがきで多くの日本語の文献を示してくださっています。どうもありがとうございました!皆さまもぜひお読みくださいませ!

 

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akihitosuzuki.hatenadiary.jp

『テイキング・ターンズ』が翻訳されました!

アメリカ合衆国のシカゴの病院で、 AIDS 患者の371病棟で働いた看護師である MK・サーウィックが書いた『テイキング・ターンズ』が翻訳され、訳者の一人である中垣恒太郎先生が送ってくださいました。

中垣先生は、メディカル・グラフィックと呼ばれるアメリカで医療がグラフィック(マンガ)と組み合わされたジャンルも専門にしています。『日本の医療マンガ50年史 -マンガの力で日本の医療をわかりやすくする』も今年刊行されています。これは日本のさまざまなマンガと医療の関係を紹介する、素晴らしい本でした。今回のアメリカのグラフィックスも読むのが楽しみです。どうもありがとうございました!

 

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