必要があって少し前に最初の数章だけ読んだ現代医学の社会学の著作に目を通す。文献は、Keating, Peter, and Alberto Cambrosio, Biomedical Platforms: Realigning the Normal and Biomedical in Late Twentieth Century Medicine (Cambridge, Mass.: The MIT Press, 2003). これを最初の数章だけしか読んでいないのは、この本が読むに値しない本だというわけではなくて、とても優れた本なのだけれども、具体的な記述があまりにテクニカルすぎるから。1-3章くらいで基本的なアイデアを説明してくれてある。残りの章も、現代医療の考察の専門家にはきっと必読なのだろう。
20世紀後半においては病人の治療と、生理学・生物学的な実験の手法が密接に結びつくようになる。その結びつきのあり方を「プラットフォーム」という、病院の設計と組織についての用語でまとめたのが、本書の独創的な点である。私の誤解でなければ、「プラットフォーム」というのは、さまざまな検査施設を集積し、患者やボディ・サンプルが効率的に流れるようにした病院の建築組織の呼称らしい。このような空間の中で、病理学の方法と生理学の方法がどのように結び付いているか、そしてその結びつきがどのような医療政策の対象になっているかを論じた書物。