彦根藩の藩医

必要があって、江戸後期の彦根藩の藩医の活動についての論文を読む。文献は、海原亮「彦根藩医学寮の設立と藩医中―藩医河村氏の記録から―」『論集きんせい』no.23(2001), 43-63. ローカルな事例の資料紹介の形式をとっているが、この著者ならではの優れた洞察がちりばめられていた。

彦根藩では、寛政11年(1799)に藩校が設立され、同じ年に「医学寮」が作られた。これは、藩医たちが出席し、医書を持ち寄って輪読などを行うというものであった。天保期には、医方大成論、温疫論、傷寒論、金きょう要略など、当時の医学の古典中の古典が読まれていた。

「医師証文」というものがたくさん残っているという。これは、病の具体的な症状や受診履歴などと、藩医による診断がつけられ、温泉に湯治にいくことや、京都の名医の診察を仰ぐことの許可を与えたものである。