『人物でつづる障害者教育史』

必要があって、精神障害者教育史の入門書を読む。文献は、精神薄弱問題史研究会『人物でつづる障害者教育史 日本編』(東京:日本文化科学社、1988)

室町時代から現代まで、障害者の訓練・教育に力があった人物を選んで、その業績をそれぞれ見開き2ページで記したという構成の書物。本格的な研究書のつくりではないけれども、私が知らないことばかりなので、感心しながら読んだ。

中世・近世は、平家琵琶の大成者(明石覚一)、管鍼の大成者(杉山和一)、筝曲の名手(八橋城談)、学問(塙保己一、谷三山)などが挙げられている。これは芸能、技術、学問とくくることができる。明治初期には、渋沢栄一石井亮一・筆子(滝乃川学園)など、事業家、教育者が多い。大正・昭和戦前期には、もちろん教育者もいるけれども、三宅鐄一、児玉昌、杉田直樹などの精神医学系、高木憲次などの整形学系などの医者が目立つようになる。