新着雑誌から、20世紀中国における結核対策と個人の誕生を論じた論文を読む。文献は、Lei, Sean Hsiang-Lin, “Habituating Individuality: the Framing of Tuberculosis and Its Material Solutions in Republican China”, Bulletin of the History of Medicine, 84(2010), 248-249.
中国の結核対策は公衆衛生というよりも、家庭の中における感染の予防という点が強調された。みんなで寝る寝台ではなくて一人用の寝台、個人用のカップ、そしてあの有名な回転テーブルといった家具類を通じて、個人間の距離が保てず非衛生的になってしまう家庭に、あらたな個人用の空間を設定することが中国の結核対策であった。
実は、私も少し似たようなことを考えて論文にしたことがある。明治期にコレラが流行したときに、病原体だけがコレラを引き起こすという説に異を唱えた論者がいて、節制を重んじる自律の態度を織り込んだ病因論を主張したものだった。
中華料理屋にいくと必ずある回転テーブルから導入するあたりが「手だれ」ですね(笑)