デイヴィズ『ダーウィンと原理主義』藤田祐訳

メリル・ウィン・デイヴィズ『ダーウィンと原理主義』藤田祐訳(東京:岩波書店、2006 )

アメリカにおける、宗教的な動機にもとづく進化論の否定を説明した書物で、1925年に高校教師を進化論を教えたかど、聖書の創造論を否定したかどで告発した「スコープス事件について詳しい記述がある。

佐倉統によるあとがきが、この本の内容をむしろけなしているもので驚いた。私は、大事なことがわかりやすく書いてあるいい入門書だと思ったけれども。

大航海時代と宗教改革の時代における思想上の騒動によって時間の観念は根本的に再編成されたこと。アメリカ大陸、新世界の住民の生活様式が報告され、過去は現在とちがうものだと考える道が開かれたこと。ギリシア人に由来し、理性の欠けている人間を意味することがであった「野蛮」と「未開」に、新しい心象(=過去の人)が付け加えられた。宗教改革の思想が理性を重視したことによって、野蛮な未開社会とは神の摂理による文明の興隆の序曲であるという考え方が推し進められた。13-14

宗教の議論では、正確か不正確かという狭い見地から科学が断定するような事柄を扱うものではなく、そのような科学的な知識の目的と用途に、それがどのようにして得られ使われるかにかかわるものである。ダーウィン理論をとり入れた人もすべてがそれを唯物論的なものと解釈したわけではなかった。45