ローゼンベルク『理念の形成』より

アルフレート・ローゼンベルク『理念の形成』吹田順助, 高橋義孝訳(東京:紀元社、1942)「ドイツの信仰の自由について」346-361
この小論は、教会との複雑な闘争の一部であるが、そこで、精神病患者と精神障害者が論じられているのでメモした。
ローマ教会が病院会議の代表者に引見し、精神病患者の取り扱いの問題について、ドイツの例に従わないように告げた。[この事実は調べなければならなくて、たぶん1935年近辺のことだと思う]ローゼンベルクによれば、精神的虚弱者・精神病者の取り扱いについて、宗教と教会のやり方は間違っている。全世界には、犯罪者群が跳梁跋扈して増加しといる。たとえば、性的殺人者であるが、これは犯罪的な素質を持った人間、精神虚弱者、性的精神病者から来ている。

「ナチスの教育観」40-50
これまでの教育は、非生物学的であったところに問題がある。我々は、生物学的な教育をめざす、と記されている。「生物学的な教育」という言葉は、日本の厚生省の研究者で優生学政策を推進した古屋芳雄が使っていた言葉であるが、このあたりに起源があったのだろうか。

なお、『理念の形成』には慶應大学の経済学部の教授であった加田哲二による訳もある。加田という人物は、ローゼンベルクの影響を受けて民族や国家について多くの書物を出版していた。ローゼンベルクの別の著作である『国民組織の綱領』田中春夫訳(東京: 1941)という書物が、「慶應書房」なる書店から出版されていた。