國井修『国家救援医 私は破綻国家の医師になった』(東京:角川書店、2012)

國井修『国家救援医 私は破綻国家の医師になった』(東京:角川書店、2012)

『週刊医学界新聞』の一面記事で知った医師の著作を読む。著者は国際保健医で、貧困だけでなく、戦争、内乱、テロ、自然災害などの後に発生した難民の医療にあたる医師である。現在はユニセフの医師であり、世界各地を飛び回って難民の子どもたちの命を救っている。全体として熱く痛快な手記であり、熱い情熱に基づく人間愛、現場の行動派としての爽快さが、すべてのページに盛り込まれている。まるでハイ・スピードのアクション小説を読むようである。しかも、そこに、国際情勢や社会の格差などの社会科学の視点も織り込まれている。私はとても楽しく読んだ。