<インドの仏-コルコタ・インド博物館所蔵の仏教美術の源流>
東京の国立博物館の「表慶館」での展示。大きな展示ではないが、とても質が高い。教科書でしか見たことがないような、ガンダーラ風やヒンドゥー風の仏像などを観ることができる。とても古い品物が中心だが、17世紀から19世紀のミャンマーのものも含まれていて、これもよかった。
そのつもりではなかったのだけれども、医学史の勉強をすることになってしまったのでメモ。「五護陀羅尼経」(ごごだらにきょう)に、医学と流行病の話が出てきた。古代インドでは、病気、悪霊、動物などの害から脱するために唱えられた呪文(陀羅尼経)が仏教経典として発達した。その5本がまとめられたのが「五護陀羅尼経」である。これはそれぞれ「明妃」という女尊に捧げられた呪文であり、男尊もそれに伴うことがある。蛇に対する呪文、出産を無事に行うように唱える呪文などがあり、それぞれに女尊が対応しているが、特に重要なのが、天然痘から守る女尊、梵語ではマハーシータヴァティー、漢字表記すると大寒林明妃という女尊である。インドで天然痘を予防する女神が比較的はやくに神格として現れ、それが中国に輸出されたというような話をする予定なので、この件、少し調べてみよう。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1701&lang=ja
画像は天然痘から守る女神。