エコノミストより アフリカの大統領はなぜ任期を延長する法律を通しているのか。

 
エコノミストより。アフリカの大統領の任期がなぜ延長されるのかという問題を論じている。民主主義について鋭利な洞察があるのでメモ。
 
1990年代にアフリカ諸国の民主化が叫ばれたときに、個人の大統領の長期独裁政権にならないように、任期を2期などに制限する方法が取られた。アメリカの大統領と同じモデルである。この制限が、現在では取り除かれている。そのために選挙を行って、任期を延長する法律を通すだけの簡単な話である。独裁主義的で恐怖政治的な大統領でも、この選挙に勝つのは簡単である。任期延長の法改正に賛成400万人、反対10人というような結果になる。民主主義の仕掛けそのものである投票による法の改正で、任期に掛けられた無意味な制限を取り除いたんです、何か問題ありますか(菅官房長官 笑)ということになる。 
 
しかし、なぜこれをアフリカの独裁者風の大統領たちができるのか。その理由は、諸外国の支援を取り付ければ、民主主義を守るための制度を守らなくてよくなるからである。アフリカの国家の指導者が、うまく立ちまわって、欧米諸国、(おそらく)日本、そして中国から支援を取りつける仕組みをつくれば、民主主義を守ることが指導者の第一の義務ではなくなる。経済発展、ジハード派との闘いと抑圧、色々なやるべきことがある。そして、その部分は私の補足だけれども、国民の中に、民主主義を維持するためにはそのための仕掛けが必要であり、それを守るべきだという意識が希薄である。だから、指導者たちが独裁政権を永続的にしようと思えば、それに対する抵抗は、どこからもこない構造になってしまう。